医学雑誌等に掲載された論文を加害者側が証拠として提出することは訴訟では定番化しています。但しほとんどの医学雑誌は査読の手続がなく寄稿された論文をそのまま掲載しているようです。そのためか極端な異端説などの特殊な主張をする論文が散見されます。これはCRPSに限ったことではありません。 例えば胸郭出口症候群について世界でその主張をするのは今では1人のみという極端な異端説を展開し、定説によれば胸郭出口症候群となる患者のほぼ全員をその説では胸郭出口症候群ではないと定義する論文が訴訟で加害者側から提出されたこともあります。その医学雑誌では特集号の筆頭論文であたかも有力論文であるかのような扱いでした。医学的な前提知識のない人がこれを読めば一般的な見解ないし有力学説と誤解してしまうのでしょう。この論文の執筆者の医師は同種の論文を色々な医学雑誌に寄稿しています。 なおその論文は「胸郭出口症候群でないとするならば正しくはいかなる疾患であるのか。」を述べていません。常識的かつ穏健な対応としてはある診断を否定するためには同じ症状をより合理的・整合的に説明できる別の疾患をあげる必要があります。驚くことにその論文は診断の否定を症状の否定と同視するかのように詐病ないし症状を偽装する精神疾患であるとの示唆を述べています。さすがにコレを信じる人はいないのではと思いましたが、交通事故事件の裁判例でその理論が採用されたものもありました。 もとより医学雑誌等に掲載された論文であるからと言って、たやすく信じてはいけません。医学雑誌に寄稿された論文は様々なものがあります。現実には特に加害者側(損保側)に有利に働く異質な論文をしばしば見かけます。医学雑誌に加害者側に有利な極端な内容を多数執筆している特定の医師が数名います。もしかするとこの人達は損保の顧問医のような立場の人でしょうか、私にはその背景はよく分かりません。弁護士が執筆した論文が医学雑誌に掲載されることもあります(その方は医師資格を持っていないようです)。以下ではその一部について述べます。
加害者側の提出する医学論文について
