CRPSが関係する訴訟に関わらず被害者の症状が争点となる訴訟では加害者側は被害者の主張する症状の存在を否定する主張をすることが通常です。意見書や鑑定書を提出して医師の意見として症状の否定を述べることもほとんど定番化しています。 CRPSが関係する訴訟では加害者側の方法がある程度パターン化しています。以下ではこの点を述べます。CRPSには必須の症状が1つも存在しないので確認できる症状は洩らさずにチェックする必要があります。これが基本的な姿勢です。
具体的な症状の確認について

具体的な症状の確認について
CRPSが関係する訴訟に関わらず被害者の症状が争点となる訴訟では加害者側は被害者の主張する症状の存在を否定する主張をすることが通常です。意見書や鑑定書を提出して医師の意見として症状の否定を述べることもほとんど定番化しています。 CRPSが関係する訴訟では加害者側の方法がある程度パターン化しています。以下ではこの点を述べます。CRPSには必須の症状が1つも存在しないので確認できる症状は洩らさずにチェックする必要があります。これが基本的な姿勢です。
皮膚温の変化は日本版の2005年の判定指標には判断要素に加えられていませんが、国際疼痛学会の1994年と2005年の判定指標では判断要素の1つとなっています。なお、労災・自賠責のRSDの3要件でも判断要素の1つとされています。 では皮膚温の左右差は何度の差であれば判定指標を満たすのでしょうか。訴訟では1~2度の差では皮膚温の変化としては不十分である。検査前に冷気にさらしておけば偽装可能である、最低でも5度以上の差が必要であるなどの大胆な主張が加害者側からなされることが予想されます。 この点、「非接触性の温度測定で1℃以上の温度差が見られることが多い。」(『整形・災害外科』45巻13号1325頁)との文献があります。加えて、国際疼痛学会が2005年の判定指標を改定するための案として2007年に公表した内容では「1度以上の左右差」となっています(『臨床雑誌整形外科』63巻8号増刊号880頁)。即ち、皮膚温の左右差は1度以上であれば「認められる」と判断することが国際的な学会で提唱されています。なお、1度以下の左右差の場合も0.7度や0.8度は明確に差が明確に計測できているので考慮すべき左右差となります。
アロディニアとは肌に触れただけ、ぬるいお湯に触れただけという通常では痛みとして感じることがない刺激を痛みとして感じる状態を言います。痛覚過敏の1つです。 アロディニアも国際疼痛学会の1994年と2005年の判定指標や2005年の日本の判定指標でも判断要素の1つとされています。臨床では「触っただけでも痛い」との記載があれば容易にアロディニアの存在を肯定できます。 しかし、加害者側が「医師がアロディニアとの用語を明示して症状を書かなければアロディニアとは認められない。」などと主張し、鑑定書で「カルテでよく見かける痛みの表現の1つに過ぎずアロディニアではない。」とされると、裁判官はこれに騙されやすくなります。この誤りに対してはアロディニアの定義に合う症状であるかどうかをカルテの記載から読み込むべしと主張するほかありません。
加害者側は被害者の主張する上記の各症状について、画像での証明が必須であると主張することは非常に多いと言えます。これは証明手段の限定であり、証拠方法は限定しないとする民事訴訟法の基本原則(247条自由心証主義)に反します。従って、その主張自体が無視すべきものと言えます。 しかし、①12級以上には他覚的所見が必要である、②他覚的所見とは画像所見のことである、との2点の騙しの両方に騙された状態で、さらに自由心証主義違反にも気づかずに、証拠方法の限定を認めている裁判例が非常に多いと言えます。
後遺障害についてはその発生の機序を解明しなければ、その実在を認めないとする考えを加害者側は主張することがあり、これに騙された裁判例も多いです。しかし、事故によりほぼ即死した事案で死因が不明であれば死亡したとは認めないとして、事故による出血多量、多臓器不全、ショック症状等のいずれかが死因であると確定しなければ因果関係を認めないとすることもおかしなことです。機序の解明がなければ現に存在する症状を認めないとすることはそれ自体が途方もない暴論と言わざるを得ません。 しかし、「関節可動域の制限が医学的に合理的な説明によって裏付けられているとは言えず、その発生の機序が原告の主張立証によって明らかにされているとは言えない。」との理由で関節可動域制限を認めなかった裁判例もあります(判例解説40の事案・橈骨遠位端骨折後のRSD)。
損害賠償金の支払いを免れるため虚偽の事実等を主張して裁判官を錯誤に陥れて判決を取得することは詐欺となります。従って、ウソ医学等の騙しの理屈を意図的に主張して損害賠償義務の全部ないし一部を免れることは犯罪となります。内容虚偽の借用書で裁判官を騙して判決を取るのと同じ、訴訟の中で行われる詐欺であり犯罪となります。CRPSの患者には重い後遺障害を主張している方が多いところ、意図的にその後遺障害が低いものまたは後遺障害が存在しないとの誤解を生じさせるために虚偽の医学的知見を用いるなどして裁判官を騙して判決を取得することは犯罪となります。なお、これはあくまでも一般論です。
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